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跡形もなく・・・。

過去数十年、清里の負の象徴のように言われ続けていた廃墟があっけなく撤去された。
風雨にさらされ朽ちて行く様は、かつての繁栄から色を失い続けるこの地を強く印象づけるものだった。
私を含め、歴代の観光振興会会長たちが手を尽くしてきたが断固として立ち続けた存在が、いともあっけなく解体された。

ここの所有者は「亡き夫の宝」と言い、周りの人は「廃墟」と言う。
人の捉え方も様々であるし、権利を主張することは、ありがたいことにこの国では認められている。
公共の害と言えども個人の権利の前では黙らざるを得ない。

しかし、経済の流れはそれをいとも簡単に覆す。
この物件の跡地を使って商業的に使いたい人が現れたのだ。
これまで数十年間、ビクともしなかった廃墟が、1日で消え去った。

清里を含めた八ヶ岳エリアに新たな風が吹きつつある。
人の流れもカネの流れも・・・。
良い方向に吹いてほしいと願うが、「良い方向」ほど難しいものはない。